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脳梗塞の種類

目次

脳梗塞には3つの種類があり、それぞれ特徴や治療法が異なります。

ラクナ梗塞

特徴

ラクナとはラテン語で「小さなくぼみ」を意味しますが、この脳梗塞は頭蓋内の奥部にある比較的細い血管に動脈硬化が起こったり、血栓ができて発症することに特徴があります。

症状

身体が思うように動かない、手足が痺れる、言葉を思うように口に出すことができない……という障害が見られます。ただ中には自覚症状がなく、人間ドッグなどの検査で発見されるという人もいます。自覚症状がない場合もあるのは血栓のサイズ自体が小さいためです。しかし再発を繰り返すことでより大きな症状が出ることもあるので、その兆候が見られたらすぐに治療を受けることをおすすめします。

治療

手術を必要とすることはほとんどなく、多くの場合内科的治療によって改善を図ります。抗血栓薬(血栓ができるのを抑える薬)や脳保護薬(脳細胞を保護する薬)を用いるのが主な治療となります。抗血栓薬には点滴と飲み薬があります。

発症してから4~5時間以内で、まだ脳の壊死が始まっていない状態なら『t-PA』という血栓溶解剤を用いることができます。そのため少しでも早い治療を受けることが必要となります。

アテローム血栓性脳梗塞

特徴

頸動脈など太さのある血管が動脈硬化を起こすことで発症します。血管内でコレステロールが固まることを『アテローム硬化』といい、それが原因で血液の流れがスムーズでなくなったり、血栓ができたりすることで血管が詰まってしまいます。

症状

症状としては半身の麻痺・脱力(運動麻痺)、半身の痺れ(感覚障害)、しゃべりづらさ(構音障害)が見られます。これらの症状は一時的なこともあれば、持続することもあります。

治療

抗血小板薬の服用が治療としては主なものとなります。アテローム硬化が進展するメカニズムは様々ですが血小板血栓の形成が主な原因となっており、それを抑制できるアスピリン、プレタール、パナルジンなどの内服治療を行います。

また状態によっては「血行再建術」という外科的な手術を行うこともあります。心臓の持病があったり、高齢だったりするために手術を受けられないときには、カテーテルを用いて内頚動脈の血管を広げる頸動脈ステント術を選択する場合があります。

予防

発症するリスク・ファクターとして挙げられるのは高血圧・糖尿病という疾病や飲酒・喫煙の習慣などです。これらは日々の生活習慣を見直すことで改善へとつなげることができます。

心原性脳梗塞

特徴

太い血管(心臓内や頸動脈)に中にできる血栓は他の細い血管の中にできるものよりもサイズが大きくなる傾向があります。そのサイズの大きい血栓が血液の流れとともに頭に運ばれ、脳内の血管を詰まらせることが『心原性塞栓症』です。血栓が大きいために与える影響も大きく、症状は重症化することが一般的で、ときとして命を落とす危険につながります。

心臓が正常に動いているうちには血栓はできませんが、年齢の経過や病気などで機能が弱まったりリズムがおかしくなったりすることで血栓が生み出されます。

症状

症状自体は半身の麻痺・脱力(運動麻痺)、半身の痺れ(感覚障害)、しゃべりづらさ(構音障害)など他の二つのタイプと共有していますが、違いとしてはこれらの症状の出方が突然であり、且つ重症となりやすいことにあります。そのため最近ではノックアウト型脳梗塞と呼ぶこともあります。そのため上記の症状が出たら迷うことなく医師の診察を受けるようにしましょう。

治療

心原性脳梗塞が発症する原因の代表例として挙げられるのが心房細動です。心房細動は不整脈という病気の一種ですが、心臓内にある心房という部位が痙攣して激しく動き、それによって息切れや動機が起こります。しかし全ての人にそのような症状が出るわけではなく、無自覚のままその症状を放置してしまう人もいます。

心房細動を長いあいだ放置していると、サイズの大きい血栓が心臓内にできやすくなります。その血栓が血液とともに全身を巡り、やがて脳に到達することで脳梗塞が引き起こされるのです。このようなメカニズムから心房細動を予防・治療することで心原性脳梗塞は防ぐことができます。

心房細動に対する治療法は薬物治療とカテーテル治療の2種類があります。薬物治療では抗凝固薬を用いることで症状を軽くすることはできますが、根治までには至りません。根治を目指すならばカテーテル治療を行う必要があります。カテーテル治療を行うことで7~8割の人が心房細動を根治できるといわれています。

脳梗塞を予防する

上記したように脳梗塞にはラクナ梗塞、アテローム血栓性脳梗塞、心原性脳梗塞の3種類があります。これらは血栓の大きさや動脈硬化を起こす血管の太さの違いがあり、基本的には左から順番に重症化する危険性が高まります。それぞれに症状や治療法の違いはありますが、予防法においては共通する部分があります。それは規則正しい生活を送り、健康な肉体や精神を維持するということです。以下のことに注意しながら日々を過ごすことで、脳梗塞の発症を未然に防ぐことができるようになります。

高血圧

血圧が高い状態が高血圧ですが、その状態では血流によって血管に過度の負担がかかり、それが様々なマイナス要因を引き起こします。脳梗塞(脳卒中)の危険因子といえば高血圧、と言えるほどに発症のリスクを高めてしまいます。血液濃度が増すことで血圧は上がるため、塩分の取り過ぎなど日々の食生活に主な原因があることが一般的です。先天性の場合もあり、そういった体質の人はとくに注意が必要となります。

喫煙

喫煙も脳梗塞になるリスクを高血圧と同じくらい高める要因になると言われています。

喫煙者は非喫煙者に比べて、脳梗塞を発症するリスクが3倍前後高くなるというデータもあるため注意が必要です。しかし「それなら煙草の本数を減らせばいい」というわけではありません。実は一日にひと箱吸う人も数本吸う人もそのリスクはあまり変わらないというデータがあるのです。そのため脳梗塞のリスクを減らしたいなら完全に禁煙する必要があります。

運動の習慣

習慣的に身体を動かすことは健康の維持だけではなく、脳梗塞の予防にも効果があります。カロリーの消費量が増えることで体重をコントロールできるようになるので肥満を原因とした高血圧や脂質異常症になりにくくなります。また運動自体にストレスを緩和させる果があり、肉体の疲労によって夜もぐっすりと眠れるようになります。無理のない範囲で身体を動かす習慣を身につけましょう。

過度の疲労やストレス

社会問題となっている『過労死』の死因で最も多いのは心臓系の疾患ですが、その次に多いのは脳梗塞を含む脳卒中だといわれています。過度の疲労やストレスを貯め込むことは精神だけではなく、動脈硬化など肉体にも様々な悪影響を与えます。

また上記以外の理由として先天的な体質も挙げられます。家族・親族に脳卒中のいずれかの症状(脳梗塞、脳出血、脳梗塞)を起こしたことがある人がいる場合、その人自身も先天的に発症しやすい体質である可能性があります。

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