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脳出血の後遺症

目次

脳出血の後遺症は出血部位や出血量によって違う

被殻出血の症状

身体の片側が痺れたり、突発的な頭痛に襲われることがあります。また手で物に触っても触感が乏しくなる感覚障害や、相手に伝えたいことがあるのにそのためにどの言葉を選べばいいのかわからなくなったり相手の言葉が意味することが理解できなくなったりする失語症・構音障害という症状も見られます。

視床出血の症状

手で物に触っても触感が乏しくなる感覚障害や、身体の左右半分が痺れたり痛んだりします。

小脳出血の症状

頭痛や眩暈に襲われ、ひどいときにはそれ以上立っていられなくなります。また運動障害が起こると立ち上がりや歩行が困難になることがあります。血腫のサイズによっては死の危険も生じるため注意が必要です。

脳幹出血の症状

手足の痺れや麻痺、瞳孔が縮むという症状が見られます。また命の危険にもつながる昏睡状態に陥ることもあります。

皮質下出血の症状

相手に伝えたいことがあるのにそのためにどの言葉を選べばいいのかわからなくなったり相手の言葉が意味することが理解できなくなったりする失語症・構音障害、身体の片側の麻痺や痙攣が見られます。

リハビリ内容

急性期のリハビリ内容

「急性期」とは脳卒中の発症直後から2、3週間までの期間を指します。脳出血のリハビリテーションは発症直後、ベッドの上からもう開始されるということができます。ここにおいてできるだけ早くリハビリテーションを始めようとするのは「廃用症候群(後述)」を予防することと、身体の動かし方をなるべく早く身につけることで早期のセルフケアを実現させることにあります。

脳出血のリハビリテーションでは発症直後から肺炎や廃用といった二次的障害の予防に努め、脳の可塑性(自らダメージから回復しようとする働き)をできる限り活発化させることを目的とします。このとき構音障害や手足の痺れ・麻痺などの後遺症が出ればその症状を最小限に収めるとともに、患者の状態・状況を慎重に見極めながら生活を再建させるための治療を続けていきます。

リハビリテーションにおいて大切なのはいかにして早くスタートさせるかです。開始の時期が少し遅れるだけでそのあとの治療計画やリハビリテーション計画に大きな支障を来たすことになります。そのため急性期を治療・ケアを適切に行うことは全体を通して非常に重要な一歩だということができます。

廃用症候群とは何か

骨折の経験がある人は骨がつながってギブスが外れても、骨折する前と同じようには力が入らない……という経験をしたことがあるはずです。腕にしろ脚にしろ、人体は動かさない状態が続くとその機能はどんどん弱まっていきます。その症状を「廃用症候群」と呼びますが手足の筋力の低下だけではなく、心肺機能の低下や嚥下・咀嚼・消化機能の障害を引き起こすことがあります。また肉体だけではなく精神も弱まっていき、寝たきりになって周囲の人間とのコミュニケーションがなくなると鬱病や認知症を発症させるという報告もあります。脳卒中はとくに長期臥床(寝たきり)になりやすい疾病、廃用症候群が起こりやすいと言われているため充分な注意・ケアが必要となります。

回復期のリハビリ内容

「回復期」は脳卒中を発症して2週間から7ヶ月くらいまでの期間を指します。この時期のリハビリテーションは、病院やリハビリ専門院などの専門的な施設でリハビリテーションチームによって行われます。このリハビリテーションチームは医師だけではなく看護師、作業療法士・理学療法士などから構成され、それぞれの専門領域を横断的に共有することでリハビリの効果を最大限にすることを目的としています。リハビリテーションの中身としてはその前段階の急性期を受け継ぐ形となり、より能動的に身体を動かしていきます。そして歩行や車いすに乗るという移動、セルフケア、周囲とのコミュニケーションなどの能力をできるかぎり回復させ、社会復帰を早期に実現することを目的とします。

慢性期(維持期)のリハビリ内容

慢性期(維持期)は脳卒中を発症してから7ヶ月以降の期間を指します。この時期のリハビリテーションは回復期で回復することができた能力を低下させることなく維持し、日々の生活の中で「出来ること」を増やしていくことを目指します。

慢性期はリハビリテーションを通して回復できるところが回復していますが、それはこれ以上の回復が見込めない部分もわかっている状態だということができます。そのためリハビリテーションを始める前に思い描いていた回復イメージとの乖離に直面し、絶望感を覚えてしまう人も出てきます。中には自暴自棄になる人もいますが、だからこそ慢性期は患者の内面にアプローチすることが大切だといわれています。最大限回復した(これ以上の回復は見込めない)状態で何ができるのか? 自分は何をしたいのか? ここには決まった正解はありません。患者とご家族が一緒に答えを探していってください。

また回復期において注意しなければならないのは、脳出血の再発です。脳卒中は再発しやすいことで知られていますが、回復期にも充分注意しなければなりません。

家族がリハビリテーションに臨むとき

脳出血のリハビリを考えるときに必要となるものはいくつかあります。まずは患者本人の良くなりたい、状態を改善させたいという意思と実行。医療スタッフによる適切なリハビリ計画。そして周りの方(多くの場合はご家族)の親身なサポートです。

リハビリは原則的にハードなものとなります。肉体的には苦痛や困難を伴い、また何より精神的にも「それまで当たり前のようにできていたことができなくなった絶望感」や「この先どうなるかわからない不安」が常につきまといます。そのためリハビリ患者はときとして感情を爆発させ、その矛先を周囲に向けることもあります。それによってご家族も傷ついたり悩んだりすることでしょうが、忘れてはならないのは患者自身が一番苦しんでいるという事実です。そのことを頭に留め、相手の立場に立ってリハビリテーションをサポートするようにしましょう。

再発を防ぐには

脳出血を発症した人の多くが数年以内に再発しています。ここで注意しなければならないのは脳出血が再発すると多くの場合、初回で出た後遺症が重症化したり、新たな後遺症が加わってしまうということです。その状態からのリハビリはさらに過酷なものとなりますし、命を落とす事態にもつながりかねません。そのためにも脳出血が一度発症したなら、その次はいかにして再発を防止するかを考えなくてはいけません。

日常生活においては以下のことに注意することで脳出血の再発防止を期待することができます。

血圧コントロール

脳出血は血管が破れ、そこから出血することで発症します。そしてその最大の原因は「高血圧」です。そのため血圧を正常値内に収めること、あるいは近づけることが脳出血の発症(再発)を防ぐことにつながります。具体的には降圧剤を医師の指示通りに服用すること、塩分を摂り過ぎないことなどが挙げられます。

禁煙

煙草に含まれるニコチンには血圧を上げる働きがあります。そのため喫煙習慣の見直しは脳出血の再発防止に大きな効果を期待できます。

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