群馬大学大学院医学系研究科の柴崎貢志 准教授は「さする」様な物理的な刺激が神経の突起をより長く伸ばすことを見いだしました。
柴崎貢志 准教授は、「さする」様な物理刺激をキャッチするセンサー・タンパク質 TRPV2(トリップブイ2)があり、このTRPV2センサーが神経突起をより長く伸ばすことに関与していることを突き止めました。
柴崎准教授は、「損傷部位を自然となでたりさすったりする行為には、TRPV2 センサーを活性化させ、損傷部位の神経突起の再生を促そうという無意識の意味合いが込められている可能性があります。事故などで運動障害を負った人が、リハビリを繰り返すことで、なぜ運動機能を取り戻すことが出来るのかは科学的には不明な点ばかりです。我々の実験結果から、リハビリとして運動することで大きな物理刺激が加わり、これが TRPV2 センサーを活性化させていると考えられます。そして、TRPV2 センサーが傷ついた神経回路の再生を促している可能性が高いです。今回、「さする」様な物理刺激をキャッチする TRPV2センサーの動作原理が明らかになったため、この知見を応用すれば、さらに効果的なリハビリ(運動機能回復)手法の開発につながると考えられます。」
と語っています。
論文情報
TRPV2 activation by focal mechanical stimulation requires interaction with the actin cytoskeleton and enhances growth cone motility.
Sugio S, Nagasawa M, Kojima I, Ishizaki Y, Shibasaki K
The FASEB Journal
http://www.gunma-u.ac.jp/wp-content/uploads/2017/01/H290111-press1.pdf