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くも膜下出血の治療

目次

前兆があればすぐに受診を

くも膜下出血は脳内の動脈瘤が破裂し、そこから血が流れ出すことで発症します。動脈瘤が破裂すること自体が非常に危険な状態であり、意識を失ってそのまま命を落としてしまう人もいます。そのため前兆と思える症状が出たらすぐに病院にかかるようにしましょう。

以下の症状はくも膜下出血の前兆である可能性があります。

激しい頭痛

それまで経験したこともないような強烈な頭痛が起こります。

意識障害

突然の眩暈に襲われたり、そのまま意識を失ったりします。

嘔吐

吐き気がします。

首の後ろの違和感

後頭部が重たい感じがします。

手術内容

くも膜下出血の治療は破裂した動脈瘤を塞ぐのと同時に、再出血を防ぐことが目的となります。治療法には主に「クリッピング法(開頭術)」と「コイル法(血管内手術)」の2つがあります。

クリッピング法(開頭術)

頭皮を外科的手術で切開し、金属製のクリップを用いて動脈瘤を潰す方法です。

コイル法(血管内手術)

主に太ももの付け根からカテーテル(細い管)を体内に挿入させ、動脈内を移動させて脳内にある動脈瘤に到達させます。そして動脈瘤の内部をコイルで満たすことで破裂の危険性を取り除きます。

このクリッピング法とコイル法にはそれぞれ特徴や長所・短所があり、適している動脈瘤の種類・発生部位も異なります。そのためどちらの治療がより適しているかは慎重に判断する必要があります。

実際の治療

ここではくも膜下出血の治療が実際にどのように行われるかを説明します。

1.基本的には手術の数日前に入院となり、そのときに今後の治療計画について詳しい説明が行われます。手術の前日までには同意書(承諾書)へのサイン、各種の検査があります。最近では「インフォームドコンセント」といって病状や手術内容を正確に把握してもらうよう医師も努めているので、わからないことや不安な点があったら遠慮することなく何でも質問するようにしてください。

2.手術日当日は一般的に手術の5時間前から絶食、2時間前より水分の摂取が禁止となります。手術に要する時間は患者ごとに異なりますが、通常は4~5時間で終了します。

3.手術が無事に終了したら、ベッド上で翌朝までは安静にしてください。「コイル法」の場合はカテーテルを太ももの付け根に挿入しているので、両下肢はとくに安静にする必要があります。一般的には水分を多く摂取するように指示が出ますが、これは血栓ができるのを防ぐ目的があります。

4.翌日から採血やCT検査が行われますが、ベッドの上でなら通常の生活を送っていただいて構いません。入浴は2日目から可能となります。その後、体調・状態に問題が見られないようなら退院指導を行い、手術から3~4日目には退院することができます。

退院後

くも膜下出血に限らず脳卒中の治療においてはその後の過ごし方・アフターケアが実際の治療と同じくらい重要となります。

多くの場合は退院後に服用するべき薬が処方・指示されるはずです。それらの薬は血栓・塞栓症といった合併症の発症を未然に防ぐはたらきのあるものなので、指示通りに正しく服用する必要があります。脳卒中は再発の確立が高い疾病として知られていますが、その中の一定数の人が処方された薬を飲むのを怠ったり、「もう飲まなくていいだろう」と勝手な判断で飲むことをやめてしまったりしています。再発の防止を高めてしまうので、このようなことは絶対にやめてください。

退院してから半年間は定期的な通院が必要となります。通院日でなくとも何か異常や違和感を覚えたらすぐに病院を訪れる、もしくは救急車を呼ぶようにしてください。半年後の検査(脳血管造影検査)で異常がなく根治となっていれば、治療は完了となります。

くも膜下出血の手術に危険はないのか?

くも膜下出血の手術には主に「クリッピング法(開頭術)」と「コイル法(血管内手術)」の2通りがあります。それぞれ異なった特徴があり、適している動脈瘤も異なりますが、共通しているのはどちらも危険性が完全に取り除かれているわけではないということです。つまり事実としてどちらの手術にも危険性は残っています。

クリッピング法は開頭を伴う手術ですが脳内出血や脳梗塞を発症させたり、ばい菌が入って感染したりすることがあります。また通常は全身麻酔で手術を行うため、麻酔に伴う危険性も排除しきれません。とくに高齢者の場合は手術によって、内臓に障害が出ることもあります。

コイル法は太ももの付け根からカテーテルを挿入しますが、この手術法も脳梗塞が発症する可能性があります。

手術に伴うこの危険性は数%の確率で起こるというデータがあります。これは執刀する医師がどれだけの名医でも、またどれだけ環境が整った施設であっても0にすることは難しいというのが現状です。そのためどのような手術が適しているかはその動脈瘤の状態、患者の性別や年齢などを総合的に見て判断していきます。

治療後に再発させないためにできること

くも膜下出血(脳卒中)は一度治療をしても再発しやすい疾病として知られています。

一般的には以下のようなことが再発を招いてしまうと言われています。

処方された薬を正しく飲まない

血圧をコントロールするための降圧剤などが処方されますが、それらの薬を医師の指示通りに飲まないことで再発の危険は高まってしまいます。例えば日に3回と指示が出ているのに2回しか飲まない、もしくはとくに異常を感じないのでもう完治したと自分で判断して薬を飲むこと自体をやめてしまう……実際に再発してしまった人たちの中にはこういったことをした人たちが多くいます。医師から処方された薬にはその効能・量にたしかな根拠があるのです。指示を正しく守るようにしてください。

塩分を多く含んだ食生活

くも膜下出血は動脈瘤が破裂することで発症しますが、多くの場合は高血圧が原因となります。血圧が高くなると動脈瘤に負荷がかかり、破裂へとつながるのです。そして血圧は塩分が多く含まれた食生活を続けることで数値が上がっていきます。そのため一度治療を受けた人はとくに塩分に注意した食生活を送らなければなりません。今は市販品ならほとんどの場合に栄養成分が表示されているので、塩分量を把握することはさほど難しくはありません。また減塩の調味料や加工品も多く販売されているので、そういったものをうまく使いながら塩分量をコントロールしていきましょう。

喫煙

煙草に多く含まれるニコチンには血圧を上げる作用があり、実際に喫煙者は非喫煙者に比べて脳卒中の発症率が高いというデータがあります。おそらく1度目の治療のときに医師から禁煙をするように厳命されているはずですが、それを守ることができずに煙草を吸ってしまう人もいます。そしてそういう人が再発の危険性を高めてしまうのです。

くも膜下出血は一度の発症でも命の危険を伴う、脳卒中の中でもとくに重篤な疾病です。そして二度目以降の発症(再発)は原則的に一度目の発症よりも重症化する傾向にあります。また同じように後遺症も深刻なものになりかねません。そういった事態を防ぐためにも治療後はとくに自身の生活に気を付けるようにしましょう。

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