サイトカインカクテル療法とは再生医療から生まれた新しい治療法
近年注目されているサイトカインを用いた脳梗塞、脳出血などの脳血管障害の治療として注目されるサイトカインカクテル療法というものがあります。
サイトカインを用いた治療の歴史は比較的新しく、名古屋大学歯学部の歯や歯肉、エナメル質の再生などを目的とした研究から始まりました。
臨床現場では2000年初期から口腔外科の分野から始めまり、その後は美容業界などでも成長因子と呼ばれ治療が開始し、現在では脳細胞の再生を目的とした治療でも用いられるようになっています。
将来的には脳血管障害だけではなく難病の治療にも効果が期待される治療として注目されています。
参考:https://kaken.nii.ac.jp/ja/file/KAKENHI-PROJECT-21390524/21390524seika.pdf
サイトカインは数百の機能を持ったタンパク質
ではサイトカインとはどう言ったものなのでしょうか。サイトカインは幹細胞の治療の過程で発見され、神経の伝達や活性化を促す機能を担っていることが注目されました。そのほか神経の伝達や活性化の機能を促すというだけではなく、治療に役立つ3つの有用性が認められています。
悪性へ分化しない安全性
まず注目されるポイントはサイトカインがタンパク質であるということです。従来の幹細胞移植では「悪性への分化のリスク」がつきまとっていました。
しかしサイトカインはあくまでタンパク質であり、活性化などの様々な機能を持ちますが、悪性への分化リスクがないということが注目をされていいます。
あらかじめ保存がきくため早く治療を開始できる
従来の幹細胞を用いた治療となると、まず自分の細胞を手術で取り出し、それを培養し、そしてやっと治療に入ることができます。
しかし、サイトカインの場合はタンパク質のため自分自身の幹細胞から培養する必要もなく、加えて保存が可能となります。
つまりサイトカインを用意してある医院であれば、すぐに治療を開始できるという大きなメリットがあります。
また治療方法も点鼻で行うため身体への負担が少ない点も挙げられます。
回復期・停滞期にも効果が見られる
ここでは脳梗塞や脳出血などの脳血管障害に限定しての話ですが、今まで治療法が少なかった、回復期や停滞期にも効果が見られることです。
また今まで幹細胞移植手術の研究は脳梗塞に偏りがちでしたが、脳出血・蜘蛛膜下出血と行った脳血管障害を幅広く対象とできるという点もあります。
新しく生まれる細胞を育てる必要があります
ただし、サイトカインは脳神経細胞の回復などを活性化することはできますが、新しく生まれた脳神経細胞がそのまますぐに仕事をしてくれるわけではありません。
そのため必ずそれぞれの症状に合わせたリハビリは必要となってきます。サイトカインで脳神経細胞の回復を高め、新しく生まれた脳神経細胞をしっかりと育てていくというアプローチは必ず必要となってきます。
補足情報: サイトカインカクテル療法は再生治療です。サイトカインカクテル療法だけではない再生医療全般にある誤解かもしれませんが、元の脳神経細胞が蘇るわけではありません。正しくはサイトカインを利用し、回復力を高めて新しく脳神経細胞を生み出されるのです。そのためCTに映る梗塞巣が消えるわけではなく他の場所に新しく生まれてくる。とご理解いただければと思います。
サイトカインカクテル療法を受診する前に理解してほしい3つのリスク
悪性の細胞を活性化させるリスク
上でも述べたようにサイトカインはタンパク質であるため悪性化していくリスクはありません。しかし細胞を活性化するという点が、すでに悪性の細胞がある場合はその細胞の動きさえも活性化させてしまうというリスクがあります。
今後治療が普及しいく中で医院毎に基準が設けられていくとは思いますが、当医院の場合ですと癌治療5年以内の方は治療をお受けいただくことができません。
てんかん発作・ワレンベルグ症候群への効果
てんかん発作とワレンベルグ症候群に関してはサイトカインの投与の効果がどう働くかが未だ解明されていない点があります。そのためこれらの症状をお持ちの方の場合は受診する事ができない可能性があります。
新しい治療のため長期のリスクがまだ発見されていない。
脳梗塞などへの治療としてサイトカインが用いられたのはまだごく近年のため、20年後、30年後の影響がまだ明らかにはされていません。
新しい治療には共通する課題ではありますが、患者様ご自身でもその点をご理解いただく必要がございます。
サイトカインカクテル療法の治療法や費用は?
サイトカインカクテル療法の治療法は、点鼻によって行います。一例として当医院の流れをご紹介します。
- まずはご予約をいただきます。
- 受付をしていただきます。この際に検査結果や報告書をご提出ください。また問診票などの記入をお願いしております。
- 問診。問診時にはお悩みや不安なこと、症状などをお伺いしております。当日の治療をご希望で、体調に問題がなければそのまま当日中に施術をお受けいただくことが可能です。
- 治療。ベットに横になり下あごをあげ、点鼻を行います。
- 治療後には、治療と同じ体勢のまま20分程度その場で安静にしていただきます。
- 施術後の体調の変化がなければ、改めて施術を行います。運動機能の変化を記録していくために写真や動画を用い経過を記録させていただくこともございます。
以上のように治療法は患者様にとって負担が少ないものとなっています。またサイトカインカクテル療法は自由診療(全額自己負担)のため、医院に変わってきます。今後治療を始める医院が増えてくることで費用に変化があるとは思いますが、こちらも当医院の料金体系を一例としてご紹介します。
乳歯歯髄由来サイトカインカクテル
1回(1cc) | ¥98,000(税抜) | 当日治療可能 |
5回コース | ¥450.000(税抜) | 当日治療可能 |
10回コース | ¥800,000(税抜) | 当日治療可能 |
また治療による変化のため血液検査もご用意しております。こちらは長期のコースの場合は必須でお受けいただいております。
血液検査(初回と最終回) ※1 | ¥20,000(税抜) | 可能 |
まとめ
サイトカインカクテル療法は現在、脳梗塞などの脳血管障害への治療として非常に注目されていますが、長期的にはそのほかの難病にも効果があるのではと期待されている治療でもあります。
脳梗塞・脳出血だけをみても、今まであまり治療法が見つからなかった回復期や停滞期に入られてしまっていた方でも回復の見込みが見られる治療です。
リスクに関しても患者様ご自身でご理解いただく必要はありますが、今後の期待が大きいことも事実です。